映画『影武者』や『人間の條件』で主演を務め、日本を代表する名俳優として長年にわたり第一線で活躍した仲代達矢(なかだい・たつや)さんが、2025年11月8日、肺炎のため亡くなりました。92歳でした。
仲代さんは東京出身。高校卒業後、俳優座養成所に入所し、舞台俳優としてキャリアをスタート。『ハムレット』や『リチャード三世』など数々の舞台で高い評価を受け、若くしてその存在感を確立しました。
その後、映画界に進出し、小林正樹監督の『人間の條件』、『切腹』、黒澤明監督の『影武者』や『乱』など、日本映画史に残る名作に出演。特に『影武者』では、武田信玄とその影武者の二役を演じ分け、作品はカンヌ国際映画祭で最高賞・パルムドールを受賞するなど、世界的な評価を受けました。
テレビドラマでも1972年のNHK大河ドラマ『新・平家物語』で平清盛を演じ、1995年の『大地の子』では中国残留孤児の父親役で温かく深みのある演技を披露し、視聴者の心を打ちました。
また、1975年に俳優養成所「無名塾」を創設し、役所広司さんをはじめ多くの実力派俳優を育て、演劇界の発展にも尽力。塾生たちと全国各地で舞台を上演し、50年以上にわたり日本の演劇文化を支え続けました。
その功績が高く評価され、2015年には文化勲章を受章。日本映画・演劇界の象徴的存在として、数多くの人々に影響を与え続けました。
事務所によりますと、仲代さんは今月8日、東京都内の病院で肺炎のため亡くなったということです。
日本の映画史・演劇史に大きな足跡を残した名優、仲代達矢さんのご冥福を心よりお祈りいたします。


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